概要
長年 TeamViewer を使用してきたが、パフォーマンス、使い勝手、価格の面を理由に、他のリモート操作ソフトへの乗り換えを検討している。最有力候補は AnyDesk となる。
AnyDesk と TeamViewer の比較
比較項目 | AnyDesk Standard | TeamViewer Business | 結論 |
一人で複数台使用できるか? | 何台でも可能 | 可能だが、インストールできる台数は 3 台まで。PC を入れ替える場合は、3 台のうち 1 台の登録を解除する必要あり。入れ替えは、契約年ごとに 10 台まで。 私的には、この制限は悩みどころ。実際あと 1 台インストールできればよいのだが。マイページ的なもので自由に設定や解除ができればよいのだが、それもできない。 |
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ソフトウェアの種類 |
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カスタムクライアントを起動すると、管理者に自動的にサポート依頼の通知が送信されるか? | 通知されない。招待者はワークスペースの番号を管理者に伝える必要がある。 | 通知される。 | TeamViewer のほうがよいが、最近の TeamViewer は、招待者の PC で、セッション番号が表示されるまで、1 分ぐらいかかり、さらに管理者に通知が来るまで時間がかかり、招待者を待たせていた。 したがって、AnyDesk のようにワークスペースの番号を読み上げてもらうほうが早い。一度接続して履歴が残ると、ワークスペース番号を入力中に、該当する番号が自動表示されるため、ストレスはない。 |
承認なしにサポートしたい PC に接続できるか? | ソフトウェアをインストールし、パスワードを設定しておくことで可能。(無人設定) | ホスト型のソフトウェアをインストールしておくことで可能。 | |
コマンドラインオプションで、ホストに接続できるか? | 可能 | 可能 | |
日本語入力 | 動作最悪 ホスト側の IME が影響して、接続先 PC の IME 切り替えが正常にできない。 |
問題なし | AnyDesk で、今更日本語入力問題があるなど、論外。 |
文字入力 | 日本語キーボードを使用すると、右シフトキーが反応しないことがあります。キーボードの種類を「翻訳」にすると、反応します。 | 問題なし | |
ファイルのコピー | 問題なし | Ctrl+C, V がまれにできない。ドラッグ&ドロップ中に停止し、残影がホスト側に残る場合がある。Visual Studio で独自のシステムを作成している場合、Clipboard.SetDataObject メソッドを実行すると、独自システムがクラッシュすることがある。 | |
画面(メイン画面) | セッションごとに1画面。新規セッションボタンをクリックすると、メイン画面が起動し、実際にセッションを確立すると、セッション画面に変わる。 | メイン画面とセッション画面。 | TeamViewer はセッションを確立するたびにメインが面も表示されて邪魔。セッションを終了した場合もメイン画面がアクティブになり、その都度消す必要がある。 |
セッションをタブ表示できるか? | できない。 | 可能 | AnyDesk で、セッションのタブ表示ができないのは残念。 |
モバイルサポート | 標準で可能。ただし、モバイルから Windows の操作はほぼ問題ないと思われるが、モバイルをリモート操作できるかというと、できないことが多い。それでもモバイル側の画面は確認できるので、電話で話しながらサポートが可能。 | オプション追加で可能。ただし、価格が上がる。 | |
Ctrl + Alt + Del の送信 | メニュー内にあり、2 回クリックが必要。 | タスクバーにアイコンがあり、1 回のクリックで OK。 | |
起動スピード | ほぼ瞬時に起動し、接続方法の選択画面が出現する。その後、無人用パスワードを聞いてくる。パスワードは保存可能なので、快適にセッション接続できる。 | メイン画面で接続、認証などの過程があり、10 秒程度必要。複数の PC で接続を切り替える場合、TeamViewer アカウントのサインイン状態が切れて、有効にするまで 2~3 分かかることもある。その後、接続処理に入るため、接続に時間がかかる。
TeamViewer をホストで使用する PC では、常に TeamViewer を起動しておくとよい。 |
AnyDesk はストレスなく短時間で、接続可能である。 |
接続の安定性 | 長期間使っていないため、不明。 | 次のエラーが発生して接続できないことがある。何度か接続を試せば接続できることが多い。
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TeamViewer を使用していて、接続ができないことが多かったため、別途シンテレワークも導入して、接続できない場合に備えていた。 |
接続のしやすさ | 有料版、無料版、カスタムクライアントの種類を問わず、ワークスペース番号だけを、サポートする側に伝えるだけでよい。 | サポートされる側が有料版、無料版の場合は、使用中の ID とパスワードをサポートする側に伝える必要がある。パスワードが英数字のため、電話で伝えることに、いつもストレスを感じる。
サポートされる側がカスタムクライアントの場合は、使用中の ID をサポートする側に伝える必要がなく、カスタムクライアント側からサポートする側にサポート依頼の通知が送信されることで、接続が可能となる。 |
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他社が契約している無人アクセスに接続できるか? | 試していないため、不明。 | 可能。(実証済み) | |
接続番号 | ワークスペース番号と言われる。PC や Windows の状態が変わっても変化しないかは、長期間使っていないため、不明。 | NIC を交換すると、接続番号が変わる。無人アクセスに設定している場合は注意が必要。 | 上記と同様に、接続できなくなるケースがあるため、シンテレワークも併せて活用している。 |
常駐 | タスクバーに格納できるため、邪魔にならない。 | 画面右下にパネルが表示される。この場所は、Windows Update の通知など、ほかのアプリでも使っているため、表示が重なり、結構邪魔。パネルを最小化はできるが、タスクバーに格納されるわけではなく、画面右下に少しだけ見える形になる。接続するたびに、パネル表示に戻るので煩わしい。 | |
ファイル転送スピード | 800MB の転送で、2 分 15 秒 | 800MB の転送で、2 分 45 秒 | |
無料版の継続使用 | 長期間使っていないため、不明だが、知人に聞いたところによると、問題なく使用できているらしい。 | 頻繁に無料版を使っていると、接続不能になる。(実際に確認済み) | この点については、TeamViewre が悪いのではなく、ある意味当然かもしれない。 |
ブラウザからの接続 | https://my.anydesk.com/v2 内に Go.anydesk というサービスがある。ただし、ビジネストライアルでは表示されない。正式にサブスクリプションを契約する必要がある。2023年3月現在ベータ扱い。 | なし | |
サポート | メールサポート
一度メールしたが、返信なし。 |
電話・メールサポート 電話で相談できるのは、最初だけであとはメールでのやり取りとなるので、ほぼメールサポートのみと考えられる。サポートの人が原因を調査するためには、サポートコレクタというツールを使って、自分でログを提供する必要あり。IT 系に強くても結構面倒。 サポートから返答を求められた場合、一定期間内に返信をしないと、サポートは自動的にクローズとなる。再オープンするためには、再度コンタクトをとる必要あり。 サポートの際、登録しているメールアドレスとは異なるアドレスから送信すると、自動的に拒否される。したがって、TeamViewer 契約には送受信できるメールアドレスを登録する必要あり。そのほか、契約内容について、電話で相談が可能。 |
TeamViewer のほうがサポート体制はよさそう。 |
価格 |
※クレジットカードで、JCB は使用できない。 |
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両社ともドイツの会社で、GmbH だが、AnyDesk は消費税が請求されないようだ。これは大きい。 |
まとめ
機能面
レスポンス的には AnyDesk がよい。TeamViewer は急ぎでセッション接続したいときに難あり。機能的にはどちらかが圧倒的に良いわけではなく、両者良いところと、悪いところがある。AnyDesk の最大の欠点は、日本語入力の切り替えに難があること。TeamViewer は大きな欠点はないが、価格の上昇の不満と不要な機能の追加、そして、使うたびにもっと早かったな、と思い続けているところ。
価格面
- 価格だけで見れば、AnyDesk のほうが安い。
- TeamViewer は、リモート接続の機能だけでなく、様々な機能が追加されており、その機能が不要な人も多いはず。
- TeamViewer は、毎年値上がりしているので、今後も値上がりする可能性あり。
私の場合、初回のサブスクは 40,000 円弱。これから 6% 値上がり、32% 値上がり、そして、今年 41% の値上がり。初回と比較すると、88% の値上がり。
最初はパッケージ版を購入したため、この数年で 350,000 円近くの支払いとなっている。 - AnyDesk は、記憶にある限り、価格が値上がりしている印象はない。
- 消費税も考慮に入れると、年間 28,920 円も差がでる。
- モバイル重視の方では、年間 72,915 円、差が出る。
TeamViewer から AnyDesk に移行する
日本語入力問題へ対応
AnyDesk の最大の問題点は、日本語(文字)入力です。根本的な原因として、AnyDesk が起動してアクティブになっても、操作元の AnyDesk をインストールした Windows の IME が反応してしまうことです。
TeamViewer では、半角/全角を入力すると、TeamViewer のセッション側の Windows の IME が反応し、操作元の AnyDesk をインストールした Windows の IME は反応しません。
ちなみに Hyper-V で、仮想 PC を起動すると、操作元の Windows の IME は完全に無効になります。
AnyDesk では、操作元の AnyDesk をインストールした Windows とセッション接続した Windows の両方で、IME の切り替えが反応してしまうので、やりづらいのです。
では、どうするか?です。
- まずは接続先の Windows IME のプロパティを開いて、Ctrl + Space で IME の切り替えができるようにします。
- そして、AnyDesk のセッション側で、日本語入力したい場合は、操作元の Windows の IME を英字モードにします。
- この状態にして、AnyDesk セッション側であ、Ctrl + Space で日本語の切り替えができるようになります。
右シフトキー無反応問題への対応
セッション接続した Windows で、右シフトキーが反応しません。対処方法は、AnyDesk のツールバーにある、キーボード設定で、「翻訳」を選択します。これで、右シフトキーの入力ができるようになります。
乗り換えると、セッション接続が快適
AnyDesk は TeamViewer と比較して、セッション接続完了までの時間が格段に速いです。使いたいと思ったら、数秒で接続できます。TeamViewer は何も問題がないときでも、10秒弱かかり、サインインが切れていた場合などは、接続するまでに数分かかることがあります。これでまで、ミーティングで、すぐにデモをしたいときには、TeamViewer は苦痛でした。AnyDesk は非常に快適です。
その他
シン・テレワークシステム
TeamViewer を使用している状態でも、このシン・テレワークを併用してきた。TeamViewer は接続できない問題が多いからだ。NIC を変更すると、使用中の番号が変わってしまい、リモートではどうしようもない。非常事態に備えて、このソフトはとてもいい。
AnyDesk の次の候補として、シン・テレワークをメインにすることも検討はしているが、やはり、決断はできていない。AnyDesk をメインにした場合には、このソフトも併用することになる。
LapLink
そのほか、LapLink への乗り換えも検討してみた。私の周りでこのソフトを使っている会社があるから気になっていた。
私の場合、自分所有の PC 3 台程度から、無人アクセスサーバーへの接続が 15 台ぐらい。そして、お客様から支援を依頼されたときにのみ接続行う PC が 100 台ぐらいはある。
となると、接続元/接続先わせて 118 台となる。LapLink の場合、この台数分のライセンスを購入することになるので、100~249のケースとなり、@5,350円×118台=631,300 円となる。
LAPLINK 14 価格|インターコム (intercom.co.jp)
買い切りかと思いきや、保守契約しないと、ソフトウェアのアップデートができないので、保守契約が必須となる。保守は、年間 @1,000 円×118 台=118,000円となる。
LAPLINK 14 価格|インターコム (intercom.co.jp)
本当にこれで正しいのだろうか。みんなこの値段で購入をしているのだろうか。
私の場合、お客様から支援を依頼されたときにのために 100 台分のライセンスが必要だが、サポート依頼があるかないかわからないのに、購入することは無理がある。