Windows に標準で搭載されている PPTP サーバーとクライアントを使用して 2 つのインターネット環境を VPN で接続してみます。両環境に配置したパソコンには PPTP サーバーとクライアントの両方の機能を実装して、相互に接続できることを確認します。
環境
「環境-1」
フレッツ光ネクストハイスピードタイプを使用した LAN 環境です。ルータが 2 台配置されています。
- 光電話ルータ : PR-S300NE (IP : 192.168.1.1)
- 無線 LAN ルータ : NEC Aterm WR8170N (IP : 192.168.2.1, WAN IP : 192.168.1.101)
- VPN 接続用 PPTP サーバー/クライアント Windows 7 (IP : 192.168.2.2)
「環境-2」
ケーブルインターネットを使用した LAN 環境です。
- モデム :
- 無線 LAN ルーター : NEC Aterm WR7870S (IP : 192.168.0.1)
- VPN 接続用 PPTP サーバー/クライアント Windows XP (IP : 192.168.0.3)
グローバル IP の取得
本来であれば、固定グローバル IP を取得するか、DDNS を契約して両者の LAN 環境を接続しますが、今回はテスト目的なので、現在割り当てられているグローバル IP アドレスを使用します。当然のことながら、このアドレスは定期的に変わる可能性があるので、永続的には使うことはできません。
環境-1 では光電話ルーターがインターネットとの接点ですので、この機器を確認します。環境-2 ではモデムは単にケーブルインターネットに接続するための機器なので、確認は無線 LAN ルーターを確認します。
「環境-1」
- 光電話ルータ PR-S300NE (192.168.1.1) にブラウザでアクセスします。ユーザー名は user です。デフォルトのパスワードは user です。
- 左側の情報 - 現在の状態をクリックします。
- 機器接続情報 - 接続先-1 [インターネット] - WAN 側 IP アドレスを確認します。今回は 1.1.1.1 とします。
「環境-2」
- 無線 LAN ルータ WR-7870S (192.168.0.1) にブラウザでアクセスします。ユーザー名は admin です。
- 左側の情報 - 現在の状態をクリックします。
- WAN 側状態 - IP アドレスを確認します。今回は 2.2.2.2 とします。
これで両者の LAN 環境にインターネットからアクセスするためのアドレスが判明しました。環境-1 から環境-2 にアクセスするには 2.2.2.2 を使い、環境-2 から環境-1 にアクセスするには 1.1.1.1 を使います。
ポート解放・PPTP クライアントへのアクセス設定
グローバル IP アドレスにアクセス後、適切な PPTP クライアントに通信を通す必要があります。
「環境-1」
光電話ルータ PR-S300NE に着信した VPN 接続を無線 LAN ルータ WR8170N の WAN 側に引き渡す設定です。PPTP は TCP 1723 と GRE を使用します。PR-S300NE では、TCP 1723 の設定をするだけで GRE の設定も行われるようです。
- 光電話ルータ PR-S300NE (192.168.1.1) にブラウザでアクセスします。
- 詳細設定 - 静的 IP マスカレード設定を開きます。
- 次のように設定を追加します。
- 変換対象プロトコル : TCP
- 変換対象ポート : 1723
- 宛先アドレス : 192.186.1.101 - [設定] と [前のページに戻る] ボタンをクリックします。
- 一覧画面に戻ると、ポート番号の表示が 1723 が pptp に変ります。
- エントリ番号のチェックボックスにチェックを付けます。
- [設定] ボタンをクリックします。
- [保存] ボタンをクリックします。
無線 LAN ルータ WR8170N に着信した VPN 接続を PPTP クライアントに引き渡す設定です。PPTP は TCP 1723 と GRE を使用します。WR8170N では、両方のプロトコルを設定する必要があります。
- 無線 LAN ルータ WR8170N (192.168.2.1) にブラウザでアクセスします。
- 詳細設定 - ポートマッピング設定を開きます。
- 次のように設定します。
- LAN 側ホスト : 192.168.2.2
- プロトコル : TCP
- ポート番号 : 1723
- 優先度 : 1 - [設定] ボタンをクリックします。
- 次のように設定します。
- LAN 側ホスト : 192.168.2.2
- プロトコル : その他
- プロトコル番号 : 47
- 優先度 : 2 - [設定] ボタンをクリックします。
- 一覧画面に戻ると、2 番目のプロトコルの表示が 47 が gre に変ります。
「環境-2」
無線 LAN ルータ WR7870SN に着信した VPN 接続を PPTP クライアントに引き渡す設定です。
- 無線 LAN ルータ WR7870N (192.168.0.1) にブラウザでアクセスします。
- 詳細設定 - ポートマッピング設定を開きます。
- 次のように設定を追加します。
- 変換対象プロトコル : TCP
- 変換対象ポート : 1723
- 宛先アドレス : 192.186.0.3 - [設定] ボタンをクリックします。
- エントリ番号のチェックボックスにチェックを付けます。
- [適用] ボタンをクリックします。
- [保存] ボタンをクリックします。
無線 LAN ルータ WR7870SN から PPTP を発信する設定です。
- 無線 LAN ルータ WR7870N (192.168.0.1) にブラウザでアクセスします。
- 詳細設定 - 高度な設定を開きます。
- VPN 設定の PPTP パススルーにチェックを付けます。
- [設定] ボタンをクリックします。
- [保存] ボタンをクリックします。
クライアント側のポート解放
Windows クライアントへの着信ができるようにファイアウォールの開放を行います。両環境とも手順は同じです。
- ファイル名を指定して実行で、firewall.cpl を実行します。
- ポート 1723 を例外に追加します。